１. 研究の目的

女性は月経に伴い、心も体も変化がみられます。たとえば、月経周期に伴いイライラしたり痛みがあったりすることがありますが、それが何故おこるかが良く分かっていません。これまでの研究では、月経周期に関連しておこる感情認知の変化と脳部位の特定が行われてきました。しかし、月経周期に関連した記憶及び感情認知と脳活動・自律神経活動の関連は良く分かっておらず、ストレスとの関連も明らかになっていません。

そこで私たちのプロジェクトでは、月経周期に伴う症状で特に記憶や感情に着目して脳機能や自律神経活動を測定し、月経周期に関連した神経基盤の解明を行います。月経周期に関連した神経基盤の解明を行うことにより、月経前にみられる精神的・身体的症状の緩和方法を考え、健康女性を対象とした健康増進への介入方法に繋げていきます。

２. 研究の方法

研究対象者

20歳以上45歳未満の月経のある健康女性。

ただし、本研究では自然な排卵周期に伴う女性ホルモンの増減がある期間に脳機能を測定しますので、以下の方は対象外となります

• 妊娠中・授乳中の方
• 続発性月経（3ヶ月以上月経が停止している状態）の方
• 希発月経（月経周期が39日以上）の方
• 女性ホルモン剤を使用している方

またMRIの撮像に際して、以下の事項に当てはまる方も参加いただけません。

• 永久的な入れ墨・アートメイク
• 妊娠の可能性
• 閉所恐怖症
• 治療のための体内への金属、心臓ペースメーカー、人工弁の埋め込み
• 金属の研磨加工業に従事したことがある

研究方法

下記の1～3の検査を月経周期に合わせて卵胞期（月経開始後５～10日）に1回、黄体期（月経前5～1日）に1回、計２回行います。1回の所要時間は約2時間半、実施場所は京都大学こころの未来研究センターMRI室およびその別室です。

1. MRI撮像（所要時間：40分～１時間程度）
   検査着に着替えてから装置の中で横になり、コイルというカバーのような形のものを頭に被せて頭部撮影を行います。脳の構造を撮る方法と、MRI装置の中でボタンを押して答えるような心理検査を行いながら撮る機能的MRIという方法とで撮像します。
2. 自律神経測定（所要時間：10分程度）
   三つの心電図電極を胸部に装着し、座位→立位→座位の順に測定をします。測定時間は5分です。測定中はリラックスしていただき、心拍の測定を行います。
3. 心理・記憶検査（所要時間：１時間～1時間半程度）
   MRI検査の後に、質問を読んで答えるような検査（質問紙）とスクリーンに提示される課題にキーボードを押して答えるテストを行います。

３. 参加者のリスクと利益

利益としては、自律神経測定後に自律神経活動の総合評価が点数化されて表示されますので、ご自身のその日の自律神経活動の様子を知ることができます。 不利益としては、MRI測定、自律神経測定において一定時間じっとしていることについての疲労、質問紙への記入の時間や手間が挙げられます。MRI撮影に関しては上記の禁忌事項がなければ危険性はないと考えられますが、実施前にもう一度チェック用紙を用いて確認し、問題が生じないように最大限の配慮を行います。

４. 費用と謝金

謝礼として、1回のMRI撮像・自律神経機能測定・質問紙調査につき7000円の金券をその都度お支払いします。

５. 研究内容の情報提供、情報の取り扱い

研究に関する資料は、他の研究参加者の個人情報等の保護、研究に支障がない範囲で入手・閲覧ができます。得られたデータは個人が特定されない形で学会発表や論文にて公表するほか、将来新たに京都大学医の倫理委員会で承認された研究に二次利用される可能性があります。

また、今回のMRI撮像は診断目的で行うものではなくたくさんの被験者のデータの解析により知見を得るものですので、原則的に個々に結果をお返しすることはありません。ただし、今回撮影するMRIにより、異常所見（動脈瘤、くも膜嚢胞など）が確認された場合はその旨を説明し、更なる検査や治療が必要と判断される場合には速やかに適切な診療を受けられるように配慮します。

６. その他

本研究は京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理理委員会 の審査をうけ承認され、研究機関の長の許可を得て実施しております。本研究への参加は自由意思であり、ご参加されなくても一切不利益は生じません。各種ご相談、お問い合わせは下記問い合わせ先までご連絡ください。