産科

京大病院での出産をお考えの方へ

妊娠おめでとうございます。京大病院では産科医・助産師は勿論、NICU、手術室、麻酔科、救急科、輸血部、放射線科など関係診療科・部門が一体となり24時間体制で母体と胎児に安全で質の高い医療を提供しています。初めて外来を受診される方は、産科のホームページをご参照ください。

ハイリスク妊娠

MFICU(母体・胎児集中治療室)が6床あり、24時間体制で母体・胎児の状態を十分に監視しています。SLE、甲状腺機能異常、てんかん、糖尿病など内科疾患合併妊娠、心疾患や脳血管疾患合併妊娠、がん合併妊娠、肝移植後の妊娠、高齢妊婦などハイリスク妊娠に精通したスタッフが妊娠・分娩管理を行っています。また重症妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、重症胎児発育不全、超早期の前期破水などリスクの高い妊娠合併症も数多く取り扱っています。合併症を抱えて長期入院される方は、分娩にむけて強い不安を抱くものです。その不安を和らげるために、病棟専属の臨床心理士さんを配置し、また助産師が時間をかけてお話を聞き、安心して分娩に臨めるように努めています。

ローリスク妊娠

大きな合併症をもたない(リスクの低い)妊婦さんの分娩も積極的に受け入れています。リスクの低い妊産婦は助産師外来でゆっくり時間をかけてお話をしながら妊婦健診を受けることができます。

胎児疾患

胎児輸血や胎児胸腔-羊水腔シャント術など胎児治療を行なっています。また、小児外科、小児循環器、心臓外科、泌尿器科などと連携し、多くの胎児先天性疾患を伴う妊娠・分娩を管理しています。また、毎週火曜日の胎児超音波外来で胎児の心疾患や骨系統疾患など胎児異常が疑われる症例の精査を行っています。

産科手術

2017年の分娩数は312件、帝王切開は116件(37.2%)でした。前置胎盤や癒着胎盤症例に対する帝王切開経験が豊富にあり、様々な出血量軽減法を用いて全例で子宮温存に成功しています。胎盤早期剥離や母体心停止の際に行う超緊急帝王切開のシミュレーションを麻酔科、手術部、救急科と合同で行うなど、日頃から緊密に連携しており様々な産科救急に対して迅速に対応しています。その他、卵巣腫瘍合併妊娠や異所性妊娠などに対して侵襲の少ない腹腔鏡手術も行っています。帝王切開瘢痕部妊娠や頸管妊娠に対しては子宮を温存する保存的治療も行なっています。

産科救急

2010年に全診療科・全診療部門の合意のもと「重症合併症を有する妊産婦の救急診療における基本指針」を作成し、院内で24時間体制での母体搬送と全身管理が可能な周産期救急体制が確立されたことにより、重症妊産婦の受け入れが著しく増加し、現在では年間およそ100件の産科救急を搬入しています。他の医療機関より搬送要請がある妊産婦産科救急は基本的にすべて受け入れており、特に、分娩後出血、胎盤早期剥離、重症妊娠高血圧症候群、前置癒着胎盤、超早期の切迫早産の管理について京大病院は先進的な取り組みを行っています。

帝王切開後の経腟分娩

当院ではいくつかの条件を満たし、診療科内でのカンファレンスで検討、承認されたケースに限って、帝王切開の既往があるかたに経腟分娩を試みています。経腟分娩の成功率はおおむね70~80%程度です。帝王切開後の経腟分娩を希望される方は、外来妊婦健診の際にお申し出ください(お電話では判断できません)。

京都大学医学部婦人科学産科学教室