研究案内
生殖内分泌研究室
Reproductive Medicine Laboratory
生殖内分泌研究室は、生殖医療・妊孕性温存における未解決の課題に対し、臨床研究、基礎研究、AI・データサイエンスを融合したトランスレーショナル研究を推進しています。学内外の研究機関と連携しながら、次世代の生殖医療の創出を目指しています。
主な研究分野
1.卵子・胚に関連する研究
本研究室では、タイムラプス胚画像のAI解析を用いた胚発生予測モデルの開発を行っています。胚培養早期段階の情報から胚盤胞到達や胚質を予測するモデルを構築し、その有用性を示しました(Yanai et al., Comput Biol Med, 2025)。さらに、PGT-A胚を用いた解析により、胚染色体異数性を非侵襲的に予測するAIモデルの開発にも取り組んでいます。
未熟卵子の体外培養法に関する研究については、基礎系研究室と連携し、臨床的視点から研究に参画しています(Nakakita et al., Development, 2026)。一方で、本研究室を主体として、卵胞体外培養における成熟個体と幼若個体の違いの解明(Okunomiya et al., Sci Rep, 2021)や、卵巣組織凍結における新規凍結保護剤の開発など、妊孕性温存医療に直結する研究を進めています。
2.子宮内膜・着床機構に関する研究
反復着床不全に対する末梢血単核球(PBMC)療法について、その作用機序をマウスモデルおよび分子解析を用いて検討し、治療効果に関与する分子基盤を明らかにしてきました(Kitawaki et al., Cell Commun Signal, 2024)。免疫応答やホルモン環境との関連を解析することで、より合理的な治療戦略の確立を目指しています。 ヒト子宮内膜細胞の3次元培養モデルや、胚盤胞・Blastoidとの共培養系を用いた着床機構の研究については、基礎系研究室と連携し、臨床的視点から研究に参画しています。
また、本研究室を主体として、子宮の螺旋動脈リモデリングと胎児発育における細胞外マトリックスの役割について研究を行い、Versicanが妊娠期子宮における血管拡張と胎児成長に重要な役割を果たすことを報告しました(Sagae et al., Matrix Biology, 2023)。さらに、子宮内膜由来の小型細胞外小胞に含まれるガレクチン3が、着床期における細胞栄養膜細胞の融合を促進することを明らかにしました(Ohara et al., Cell Communication and Signaling, 2025)。
3.AIを軸とした横断的研究
AIを軸に腫瘍研究室と連携し、MRI画像を用いたAI解析などの横断的研究を行っています。多施設共同研究や企業との連携を通じて、画像AIの臨床応用や教育的活用も視野に入れた研究を推進しています。
4. 生殖医療の長期予後に関する研究
妊孕性温存、生殖医療、周産期予後に関する診療情報は複数のデータベースに分散しており、長期予後の把握にはなお課題が残されています。当研究室では、個々の経過を丁寧に追う診療録ベース研究と、医療DXを活用した大規模データベース研究を相補的に活用しながら、臨床現場に根ざしたエビデンスの創出を目指しています。
研究体制
本研究室の研究は、生殖医療分野における臨床的課題を起点とし、学内外の基礎研究室、臨床部門、企業との共同研究を通じて、それぞれの専門性を生かした連携体制のもとで行なっています。
