小児・若年女性のがん患者における妊孕能温存のための卵巣組織凍結保存ならびに自家移植

【生殖研究】

概要

がんを罹患された小児患者や、若年女性患者さんにおいて、抗がん剤による化学療法や放射線療法により、治療後に卵巣機能が著しく低下あるいは喪失し、無月経や不妊となる場合があります。そこで、原疾患の治療前または治療初期に卵子を採取し、凍結保存しておくことで、疾患の治療後にも妊孕(にんよう)能(妊娠する能力)を温存できる可能性があります。月経発来前の小児や、原疾患の治療開始まで時間的猶予がない患者にとっては、現在の体外受精の技術を応用した卵子採取-未受精卵子凍結法では、妊孕能温存を断念せざるを得ませんでしたが、それに変わる技術として2004年に世界で初めて卵巣凍結が行われ、その後欧米をはじめ、世界中で卵巣組織凍結の報告例が見られ、2015年までで本邦例を含めて既に60例の出産例の報告がなされるに至っています。具体的には二つある卵巣のうち、片側の卵巣を摘出(一般的には腹腔鏡手術で行う)し、多数の卵子が存在する卵巣皮質を凍結、将来的に凍結保存した卵巣組織を自家移植します。 本研究の目的は、このような患者に対して卵巣組織凍結を臨床研究として実施し、その有効性、安全性を検証します。

対象

小児及び若年女性でがんを罹患した患者 (白血病を含む血液がん疾患など、卵巣への転移が疑われる症例を除く)

詳細

本研究の情報の公開は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)に開設されたホームページで行われます。

https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000025062
UMIN-CTR試験ID: UMIN000021746

京都大学医学部婦人科学産科学教室