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京都大学医学部附属病院 産科婦人科 特定病院助教
宮本泰斗
米国留学報告
2009年卒の宮本泰斗と申します。私は、京都大学の婦人科腫瘍研究室にて博士号を取得後、アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるThe Wistar Institute(ウィスター研究所)の、Dr. Nan Zhangの研究室で、博士研究員として卵巣癌の免疫学的腫瘍微小環境、特にマクロファージや好中球により惹起される免疫抑制や治療抵抗性とその克服に関する研究を行いました。「癌とマクロファージ」と聞くと古典的なテーマに思われがちですが、近年の単一細胞解析技術の進歩により、原発巣と転移巣でのマクロファージの性質の違いや、同一組織内での多様性が明らかになり、腫瘍内のマクロファージを単純に腫瘍促進性の「悪者」として一括りにできないことがわかってきました。我々は、β-グルカンとIFNγの併用による、IL27陽性マクロファージ依存的な卵巣癌腹腔内転移の抑制を見出し、第38回Society for immunotherapy of cancer年次会議で口演発表し、論文の形にすることができました。また、好中球に媒介される化学療法抵抗性の機序の解明に着手し、こちらは更に発展させるべく帰国後も継続して取り組んでいます。 英語でのディスカッションに悪戦苦闘する日々が続きましたが、研究に集中できる恵まれた環境で過ごし、オフにはアメリカの大自然に癒されるなど、とても充実した留学生活を送ることができました(帰国後に英語ペラペラな自分を想像していたものの、現実はそう甘くありませんでしたが!)。今後は、得られた経験を少しでも周囲に還元できるよう、より一層精進していく所存です。
2024/09/29
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