教室員による活動報告

下仲慎平

第78回学術講演会JSOG Congress Award受賞報告

京都大学医学部附属病院 産科婦人科 病院助教

下仲慎平

第78回日本産科婦人科学会学術講演会

この度、2026年5月14日から17日にかけて札幌市で開催されました第78回日本産科婦人科学会学術講演会のInternational Session Workshopにおいて、JSOG Congress Awardを受賞いたしました。これもひとえに、日頃よりご指導ご支援いただいております、研究室長の奥宮先生を始め、生殖研究室の皆様のおかげと、心より感謝いたしております。 私は京都大学産婦人科の所属と並行して京都大学iPS細胞研究所の研究員としても大学院生時代から継続して現在研究を継続中であり、今回の研究成果の発表につきましても婦人科病棟医長の宮本先生のご配慮に対し大変感謝している次第であります。 さて、この度発表した内容は、胚着床を再現した人工子宮内膜モデルの作製に成功した、という内容です。不妊症に悩む患者が年々増加しており、体外受精/顕微授精・胚移植(以下、体外受精)も一般的に受け入れられている昨今、体外受精の治療効率の改善や良好胚移植にもかかわらず妊娠に至らない、反復着床不全・習慣流産の治療法がないことは題となっています。 今回我々はヒト子宮内膜細胞を上皮オルガノイド(組織様構造体)、間質細胞と別々に樹立し、その後独自の方法で再組織化をすることで非常に生体の組織に類似した3次元構造物の作製に成功しました。同モデルは月経周期様の構造・ホルモン変化を認め、着床期の窓、と呼ばれる特異的時期限定にiPS細胞由来の胚盤胞様構造体(Blastoid)が同モデルに浸潤することを確認しました。着床期の窓については、様々な遺伝子マーカーが仮説として唱えられていますが、機序についての言及がこれまでできていなかったため、実際の臨床へ十分反映ができていなかった点について、このモデルを用いた着床スクリーニングやシングルセル分析から様々な遺伝子変化のパターン解析を行い、プロゲステロンを主体とした遺伝子・タンパク変化の着床期の窓の「開閉」の機序の一端を解明しました。 生殖医療は現在進行形での研究ベースの医学です。患者の身体的・心理的ストレスを少しでも減らし、妊娠、出産という究極の患者ニーズに応えるためにも、京都大学産婦人科生殖部門の一員としてこれからも精進いたします。引き続きご指導ご佃撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

2026/05/27

京都大学医学部婦人科学産科学教室