教室員による活動報告

砂田真澄

令和7年度教育奨励賞受賞報告

京都大学婦人科学産科学教室 助教

砂田真澄

受賞報告

[発表タイトル]
インストラクター主導型VR講義(ILVRD)による骨盤深部解剖教育の実践と普及

[研究内容]
婦人科領域の骨盤手術では、各臓器を栄養する血管や神経など、骨盤深部に存在する複雑な解剖構造を正確に理解することが重要です。特に、婦人科悪性腫瘍手術では、深部解剖の理解が手術の安全性と根治性に直結します。

一方で、従来の教科書、解剖アトラス、手術映像では、骨盤深部構造の立体的な位置関係を十分に把握することは容易ではありません。ご遺体を用いた解剖実習は非常に有用であるものの、実施には施設、時間、準備などの制約があります。

本活動では、骨盤MRI画像をもとに臓器・血管・神経を三次元的に再構築し、VR空間内で自由に観察できる骨盤解剖教材を開発しました。さらに、講師がVR機器を装着し、仮想空間内で骨盤モデルを操作しながら解説し、その映像をスクリーンやオンライン配信で共有する「インストラクター主導型VR講義(Instructor-Led Virtual Reality Demonstration:ILVRD)」を実践しました。

ILVRDでは、受講者自身がVR機器を装着しなくても、講師と同一の視野を共有しながら骨盤深部解剖を学習できます。そのため、VR酔いや機器準備の負担を軽減しつつ、多人数に対して効率的に教育を行うことが可能です。

教育効果を検証した結果、特に骨盤深部の血管・神経構造において、従来型講義よりILVRDは高い学習効果が示されました。今後、VRを用いた骨盤解剖教育は、産婦人科領域における安全で精緻な手術教育を支える新しい教育手法として発展することが期待されます。

[感想・抱負]
このたび、日本産科婦人科学会より令和7年度教育奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。本活動は、京都大学婦人科学産科学教室、関連施設の先生、ならびに教材開発・講義運営にご協力いただいた多くの皆様のご支援によって実現したものです。心より感謝申し上げます。 今回の受賞を励みに、今後も婦人科手術教育の発展と、安全で質の高い手術の普及に貢献できるよう努めてまいります。

2026/06/03

京都大学医学部婦人科学産科学教室